写楽は1人の天才か?それとも江戸のクリエイティブチームか?

写楽の絵の3パターン
なりさん

写楽って1人の天才ちゃうって聞いたけど、ほんま?

そやで。写楽は“1人の天才”というより、“プロジェクト制”で動いてたと考えたほうが、いろんな辻褄がスッと合うねん。理由を順番に話していくわ。

まず有名な話として、写楽の活動期間はめっちゃ短い。たった10か月ほどで140点近い作品を一気に世に出して、ふっと姿を消す。そのスピード感は、どう考えても「個人で黙々と描き続けた」というより、チームでガッと動いた“短期集中プロジェクト”の匂いが濃いんよ。

加えて、後期になるにつれ作風がゴロッと変わる。線の勢い、顔の描き方、着物の処理、全部違う。まるでデザインチームの中で担当が交代したか、あるいは別ラインが走ったみたいな変化やねん。

当時の版元・蔦屋重三郎は、今でいう“アートプロデューサー”みたいな存在で、伊達男で、人脈も広く、時代の空気を読む天才やった。彼の周りには絵師も彫師も摺師も集まってて、共同制作が当たり前。その環境で、“写楽”というブランド名を付けた企画を立ち上げ、複数の手で作品を作った、と考えるのが自然なんよ。

つまり写楽って、ゴーストライター問題でもなければ、陰謀論でもなくて、“江戸のクリエイティブチームが動いた結果としてのペンネーム”やったかもしれん、という話。

写楽が“プロジェクト制”だったと考える理由

1. 作風の変化が「チーム作業」の匂いしかしない

写楽は前期・中期・後期で作風がガラッと変わるやろ?
これ、1人の絵師が数か月でここまで変貌するのはまず考えにくいねん。

前期:線が鋭い、顔はデフォルメ強め、舞台の熱気をそのまま写し取ったような迫力
中期:全体に整ってくる、ポーズが安定、背景のまとめ方が変わる
後期:写実寄り、線の粘りが弱い、別人の筆に近い質感

これはもう、
「デザイン室Aが最初に走って、途中からチームBに引き継いだ」
みたいな空気そのものやねん。

江戸の浮世絵って版元がアートディレクター的に動いてたから、絵師を複数アサインして“写楽ライン”を作ってた、という読みがめっちゃ自然。


2. たった10か月で140点は、物理的に1人ではほぼ不可能

10か月で140点て……月14枚、
週3〜4枚ペースやで。

しかも写楽の絵は背景や衣装の柄がめちゃ複雑で、役者の目元や口元の表情も細かい。線描きの段階から彫り工程、摺り工程まで考えると、1人では無理筋。

“写楽プロジェクトチーム”を作り、
・下書き担当
・清書担当
・表現調整担当
みたいに役割分担して進めた、と見たほうが合理的。


3. 版元・蔦屋重三郎のプロデュース能力が圧倒的だった

写楽の黒幕(企画主)といえば、版元の蔦屋重三郎。
この人は当時の文化系スタートアップの社長みたいな男で、

・人気絵師を抱える
・噂を立てて売り仕掛ける
・斬新な企画を打つ
・トレンドの「役者絵」にぶっ刺さる企画を立てる

全部できる人。

「写楽」は蔦屋のマーケティングプロジェクトの結果、と見立てたほうが筋が通るんよ。

今でいうたら、
“写楽”はブランド名、
“チーム写楽”は制作会社、
蔦屋はプロデューサー兼ディレクター。

そんな構造。


4. 江戸の浮世絵業界は、もともと「分業制」が当たり前

浮世絵って、そもそも完全に分業制。

絵師:アイデアと線
彫師:版木を彫る
摺師:色を摺る
版元:全体統括・お金・販売・広告

絵師が「1人で全部作る」みたいな世界とちゃうねん。

せやから、写楽が複数の絵師による共同名義、あるいは「写楽ブランドのライン」やった可能性はめっちゃ高い。

今で言うと、
歌のクレジットで“プロデュース:○○、作曲:複数”みたいな感じやな。


5. 身元の候補がいろいろあるのも、“1人前提”で考えるからややこしい

写楽の正体候補といえば、

・能役者の斎藤十郎兵衛
・絵師の勝川春朗(のちの北斎)
・蔦屋の内部スタッフ
・複数名義説
・アトリエ一括説

いろいろ言われてるけど、
「写楽=1人であってほしい」という前提に縛られてるから混乱する。

“写楽とはプロジェクト名”と考えたら、
「複数の痕跡が出るのは当たり前」
で説明がつくねん。


まとめ:写楽は「江戸のチームクリエイション」かもしれん

つまり写楽は、
1人の天才の伝説やなくて、
江戸のクリエイティブ産業が生み出した“共同制作ブランド”。

ミステリアスに見えるのも、
当時は作者名をあえて隠したり、
ブランド名や屋号で勝負する文化があったから。

THE BRIDGE株式会社
写楽プロジェクトは現代でも生きている―エンタメビジネスの「チーム名義」戦略 | THE BRIDGE株式会社 江戸時代の「写楽プロジェクト」を現代エンタメビジネスに置き換えると、実は至る所で同じ構造が見つかる。 「1人の天才」に見えて、実はチームで動いているビジネスモデル...
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