「行軍中の食事|「飯や!飯や!」で暴動が起きない仕組みの」という記事の文末に書いてた「織田軍 vs 武田軍」の兵站飯比較(味噌文化・米と麦の比率・水源の使い方)について興味あるから教えて。

「織田軍 vs 武田軍」の兵站飯(=補給と食文化)を比較すると、まるで“西の工業系オフィス飯 vs 東の山岳キャンプ飯”みたいな違いが見えてくる。
それぞれの地形・気候・思想が、飯のあり方にそのまま反映されてるんや。
■ 1. 兵站の思想と地理条件の違い
| 軍 | 拠点 | 地形・気候 | 食の戦略思想 |
|---|---|---|---|
| 織田軍 | 尾張・美濃(現在の愛知・岐阜) | 平野・水田地帯・交通の要衝 | 物流と効率重視。大量供給と早炊き飯が基本。 |
| 武田軍 | 甲斐・信濃(山梨・長野) | 山岳・寒冷・水源地多い | 保存と自給重視。山の幸・味噌文化が発達。 |
織田は“都市型補給”、武田は“山岳型補給”。
つまり、織田軍はルート戦略(兵站線)、武田軍は拠点戦略(補給基地)やった。
■ 2. 主食:米と麦の比率
| 軍 | 主食構成 | 理由・背景 |
|---|---|---|
| 織田軍 | 米中心(7:3で米:麦) | 尾張・美濃は米の生産地。米蔵から定期補給が可能。 |
| 武田軍 | 麦中心(3:7で米:麦) | 山国で米が少なく、麦・粟・稗を主力に。冷害にも強い。 |
織田軍は炊飯ロジスティクスが整ってた。
炊夫(すいふ)や飯奉行がいて、各部隊で一斉に米を炊けた。
一方、武田軍は「粥」や「雑穀飯」で火力と水量を節約。
→ まさに“燃費重視の飯”。
■ 3. 味噌文化の違い ―― 兵の活力源
| 軍 | 味噌の特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 織田軍 | 八丁味噌(豆味噌・濃厚) | 干味噌・味噌玉として携帯。濃厚で保存性が高い。 |
| 武田軍 | 信州味噌(米味噌・中辛) | 炊き物・汁物・漬物と多用途。塩分で疲労回復。 |
織田軍の八丁味噌は、今の愛知岡崎発祥。
これが「味噌玉文化」を育て、戦場で湯に溶くだけで味噌汁ができた。
武田軍は、信州味噌を「漬物+鍋」両用にして、
寒冷地でも栄養を確保してた。
つまり、味噌=エネルギーパック。
味噌の産地が、そのまま補給拠点になってた。
■ 4. 水源と火の使い方
| 軍 | 水の確保 | 火の管理 |
|---|---|---|
| 織田軍 | 木曽川・長良川など大河を利用。宿場ごとに補給。 | 平野なので薪が豊富。かまど炊きが主。 |
| 武田軍 | 山の湧水・谷川・雪解け水を利用。 | 山中なので薪が貴重。炊煙が敵に見えるリスクがあり、夜明け・夕暮れに短時間で炊く。 |
織田軍の「野営飯」はダイナミック。
馬鍋・干魚・味噌汁など“チームで囲む飯”。
武田軍は“静かに、無煙で”——
火を小さくし、竹筒で飯を蒸す「竹飯」まであったという。
■ 5. 保存食・非常食ラインナップ
| 軍 | 保存食 | 特徴 |
|---|---|---|
| 織田軍 | 干飯(ほしいい)、味噌玉、焼き魚、干大根 | 都市補給ルートで再供給可能。 |
| 武田軍 | 兵糧丸、干肉、干芋、味噌漬け野菜 | 山中行軍のため、自作・自給型。 |
織田軍の干飯は尾張・美濃の米を蒸して乾かしたインスタントライス。
武田軍はそれに加えて「兵糧丸」という高栄養団子(米粉+味噌+薬草)を常備。
これは行軍中でも口に放り込める“カロリーボール”やね。
■ 6. 兵站思想の根本的違い
| 軍 | 兵站哲学 | 結果的な強み |
|---|---|---|
| 織田軍 | 補給路重視(物流制覇) | 大軍を動かす都市型戦争に強い |
| 武田軍 | 自給自足重視(地の利) | 山岳・奇襲・持久戦に強い |
- 織田は「道を作り、物流を制す」発想。
→ ルート上に宿駅と伝馬(補給拠点)を整備。 - 武田は「地形と自然を味方にする」発想。
→ 山中に兵糧蔵(備蓄小屋)を点在させる。
その違いがまんま戦術の差に出た。
信玄=長期包囲戦に強い。
信長=短期集中・電撃戦に強い。
■ 7. まとめ:飯が戦略だった
| 項目 | 織田軍 | 武田軍 |
|---|---|---|
| 主食 | 米 | 麦・雑穀 |
| 味噌 | 八丁味噌(濃厚) | 信州味噌(万能) |
| 水 | 川・宿場補給 | 湧水・雪解け水 |
| 火 | 平野で自由 | 山岳で制限あり |
| 保存食 | 干飯・味噌玉 | 兵糧丸・干肉 |
| 兵站思想 | 都市補給・物流重視 | 山岳自給・持久戦型 |
ひと言でまとめるなら──
織田軍の飯はシステム化、武田軍の飯は自然化。
織田の兵は「飯が届く」仕組みで動き、
武田の兵は「飯を持って歩く」覚悟で動いた。
この「兵站飯の思想差」をもとに、“関ヶ原で勝敗を分けた飯”──
つまり、三成 vs 家康の補給線の差まで掘り下げてみようか?あそこにも、飯の勝負がはっきり出てるで。

