江戸の夜が明るくなった日|灯りと少子化の意外な関係は?

安く灯りを手に入るようになって喜ぶ庶民
なりさん

江戸後期、庶民にも灯りが行き届いて夜型生活になってきたという話を聞いた。そのせいで夜の営みが減って少子化になったという話とかはない?(笑)

おお、いいところに目をつけたね。実は「夜が明るくなったことで少子化が進んだ」という話、俗説としては面白いんやけど、史料的に裏付けのある話ではないんですよ。

残念ながら、、、

照明の話やのに証明できません。(笑)

ただし、「生活リズムの変化が夫婦関係や出生率に影響した」という推論は、文化史・社会史の観点から考察する余地があります。


■ 江戸後期の夜の明るさと生活リズム

江戸中期までは灯りといえば行灯・油皿・蝋燭が中心で、庶民にとっては贅沢品でした。

ところが18〜19世紀にかけて、菜種油の生産が増え、さらに安価な鯨油や魚油も流通。

これによって「夜でも仕事や読書、寄合ができる」ようになり、特に町人層の夜の活動が活発になります。
たとえば:

  • 商家の帳簿付けや仕込み作業が夜遅くまで行われた。
  • 寄席・浄瑠璃・芝居などの娯楽が夜興行化した。
  • 遊郭や茶屋文化も深夜まで営業するようになった。

結果として、江戸の庶民社会は「夜型都市」へと変貌していきます。


■ 「夜の営みが減った」説の背景

これは直接的な記録はないのですが、間接的な文献や民俗学的分析では次のような指摘があります。

  1. 家屋構造の変化
    長屋や町屋では家族や奉公人が同じ空間で寝起きするため、プライバシーがなく、夜の営みがしにくい環境が広がっていた。
  2. 夜間労働の増加
    夜遅くまで働くことで、単純に体力的・時間的に「そういう時間」が減った。
  3. 娯楽・社交の発達による性的エネルギーの分散
    遊郭・寄席・祭りなどの「外の刺激」が増え、家庭内での結びつきが相対的に薄れた。

これらを総合して、「明るさが増えたことは夜の家族的時間を奪った」という説は文化史的に一定の説得力があります。

ただし、当時の出生率そのものは明確な統計がないため、「少子化」というほどの変化を数値で示すことは難しいです。


■ 興味深い比較例

  • 明治以降の電灯普及期(1890〜1910年代)にも似た議論があり、夜の労働時間が延びて家庭団らんが減り、出生率が下がったという社会学的分析があります。
  • つまり、「夜が明るくなると人間関係が変わる」という傾向は、江戸後期にも萌芽があったと見ることができます。

要するに、史実として「明かりの普及=少子化」は証明されていませんが、「夜が社会の時間になり、家族の時間が減った」という文化転換は間違いなく起きています。

現代の「スマホによる夜更かし」とも似た構図なのかもしれませんね。


生活編

あの時代、人々はどんな生活をしていたのだろう?衣食住から働き方まで、素朴な疑問にわかりやすくこたえます。

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